「保育園落ちた」問題が、ついに国を動かしました。
定員が19名までであった小規模保育所において、定員の緩和、つまり20人以上受け入れられるようにすることを検討しているとのことです。
ところで、そもそも小規模保育所という施設自体について、「それって認可なの?」と、よく分からない人も多いのではないでしょうか。
小規模保育所のメリットやデメリットとは、保育料などに差はあるのでしょうか。
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目次
小規模保育所とは
「保育園落ちた」問題で、国の緊急的な対策として上がった小規模保育所。いったいどんな施設なのでしょうか。
小規模保育所とは、0~2歳の乳幼児を対象とした、定員6~19人の認可保育施設です。
子ども・子育て支援法で新たに始まった、新しい形態の保育事業といえます。
特徴としては、一般的な保育所に比べてマンションの一室や空き家となっている一戸建て住宅などをそのまま使って始めることができ、計画から事業開始するまで約半年ほどで準備が整うなど、待機児童数の需要に応じて新規事業参入ができるため、昨今問題となっている待機児童ゼロへの対応策として注目されています。
小規模保育所の認可基準
小規模保育所も認可制度の枠組みで運用されていますから、一般的な認可保育園と同様に国が定めた基準に従い各自治体が定めています。
そもそも小規模保育所は、認可保育園と比べて新規事業開始への敷居が低くなくても実効性がありませんから、一部の認可基準が緩和されています。
そのもっとも特徴的な部分が、保育士に求められる有資格者の割合です。
認可保育所は全職員が保育士の資格を有している必要がありますが、小規模保育所の場合はA型、B型、C型の違いにより半数程度でも認可を受けられる場合があります。
出典:子ども・子育て支援新制度ハンドブック
A型:保育所分園、ミニ保育所に近い類型
B型:中間型
C型:家庭的保育(グループ型小規模保育)に近い類型
この表からわかるとおり、小規模保育所は、職員数自体は認可保育園よりも多いものの、保育士の有資格者の数は緩和されていることがわかります。
小規模保育所の保育料
料金については、小規模保育所が存在する自治体の基準によって異なる場合がありますが、一般的な認可保育所と同じ基準となっています。
認可保育所の保育料は、自治体が保護者の方の所得に応じて定めていますから、同じ自治体であれば認可保育所でも小規模保育所であっても同じ保育料、ということになります。
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保育所の種類と形態
そもそも日本において、子どもを保育する場合の種類と形態はいったいどのようなものがあるのでしょうか。
小規模保育所の位置づけをより明確にするため、他の形態についても見てみましょう。
幼稚園
幼児教育機関として学校教育法により位置づけられるため、保育所との比較対象となりますが、こちらは文部科学省による管轄となっています。
とはいえ、幼稚園で育った子と保育所で育った子が小学校に入学する際に能力に差が生じないよう、卒園までの教育目標としては整合性が図られています。
保育園と比べると預けられる時間が短くなります。
認可保育園(大規模保育園)
国が定める認可基準に従って自治体が独自に認可基準を定めていて、その基準を満たしている場合には認可保育園として扱われます。
小規模保育所と比較して、大規模保育所と言われることもあります。
小規模保育所が、これまで定員が19名までであったことから、20人以上のものを指して言われますが、「保育園落ちた」問題により小規模保育所の定員が20名以上となる場合がありますので、その辺の認知のされ方はやや曖昧になっていく可能性があります。
また、0歳から6歳までの乳幼児を預けることができます。
入園管理は自治体が統括して行っていることから、入れるも入れないも自治体の基準によって決められます。
ここで基準から漏れてしまうことが「保育園落ちた」問題となり、入園待ちの児童を待機児童と呼びます。
小規模保育所
上記したとおりですが、基本的な定員が6~19名までであること、年齢制限として0歳から2歳までの乳幼児を対象としているのが特徴です。
保育ママ
家庭的保育事業として位置づけられ、保育ママの居宅などで行う、小規模保育所よりもさらに小規模です。
0歳から2歳までの乳幼児を対象としており、定員も5名以下という制限があります
認定こども園
幼稚園と認可保育園の両方の機能を併せ持つ施設で、新しい形態の保育事業といえます。
利用者は自己の就労状況などでどちらの形態も選ぶことができます。
認可外保育園
無認可保育所とも呼ばれ、認可基準を満たさないことから認可保育園とは区別されています。
特徴としては認可基準に縛られることがないため、場合によっては認可保育園よりも保育料が安くなることも高くなることもあります。
また、保育が必要な理由も問われませんので、認可保育園には預けることができない家庭であっても、入園管理を自治体が行うわけではありませんので、認可外保育園を運営している民間会社が認めれば入園することができます。
小規模保育所のメリット
就労のためなどにより、子供を預けようという場合は上記のような施設のいずれかを選ぶことになりますが、「大規模保育所と小規模保育所はどちらがいいか」という点について迷われる親御さんも多いようです。
単純に考えれば、6歳まで一貫して預けることができる大規模保育所のほうがいいように思えますが、小規模保育所にも預けるメリットがあります。
それは、子ども一人に対する保育者の割合です。
大規模保育所では、0歳児のみが子ども3人に対して保育者が1人という割合ですが、1歳児以上では6:1と、保育者一人当たりが見る乳幼児数が2倍になります。
これに対し、小規模保育所は0歳児から2歳児まで一貫して3:1となっており、年少時という大事な時期において、より目の行き届いた保育ができる、という強みがあります。
最近では、育児においては目と目をしっかり合わせて子どもの方を見てあげることが大事、といった保育論も強いですし、そういった面ではかなり大きなメリットと言えるでしょう。
子どもに対する保育を、より手厚いものにしたい、と考える親御さんにはメリットが大きいと言えます。
小規模保育所のデメリット
小規模保育所のデメリットの1つとして、園庭がないことがあげられます。
認可基準にありませんから、新規事業者の考え方次第ですが、フェンスがついた安全な公園の近くの建物の一室を選べばこういったデメリットは解消できますが、利用者も保育所そのものだけでなく、周囲の環境にも目を向けて選ぶ必要があります。
もう1つのデメリットは、2歳までしか預けることができない、ということがあげられます。
従って、3歳児になった際に再び保育所選びをしなければなりませんし、兄弟で預けようという場合には、2施設に別れてしまう可能性があります。
就労している両親にとって、送迎の手間というのはかなり大きな問題になりますが、これが2倍になると考えると、相当な負担となるでしょう。
従って、親の都合を優先すると、どうしても大規模保育所のほうがメリットが大きい、と感じる人が多いと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
小規模保育所は大規模保育所による待機児童をゼロにするための実効策として始まりましたが、保育料などの面での優遇などはないものの、手厚い保育といった特有のメリットがあることもご理解頂けたと思います。
また、新規参入がしやすい事業形態でもありますから、待機児童数が多い地区にお住まいのご両親の皆さんは常に新しく小規模保育所が増えていないか、などチェックしてみることをおすすめします。
以上「小規模保育所とは認可なの?メリットと保育料について」でお送りしました。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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