年末年始の仕事の終わりと始まりを意味する言葉「仕事納め」と「仕事始め」。
この間が一年で一番ゆっくりできる時で、自分の親とも子供とも長く触れ合えるのが嬉しいですよね。
ところで、「仕事始め」は「仕事初め」と表現されることがあり、実際に変換すると候補に出てきます。
また、公務員に関しては「御用始め」と言う場合もありますが、それぞれの持つ意味や由来にはどんな違いがあるのでしょうか。
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仕事始めと仕事初め、どっちが正しい?
「仕事始め」は、辞書的には「新年に最初に仕事を始めること」と説明されています。
しかし、一方で「仕事初め」と書く場合もあります。
この「仕事始め」と「仕事初め」、どちらもパソコンのフォント上では変換されるのですが、一体どちらが正しいのでしょうか。
日本語を説明したものである国語辞典によると、私が調べた限りにおいては「仕事初め」という言葉は見当たりません。
説明書きにも、上述のように「新年に最初に仕事を始めること」を意味するのですから、「仕事」を「始め」るという意味で、仕事始めと表現するのが正しそうです。
では、「仕事初め」はいうと、当て字的な読み方になりますが、「新年に初めて仕事をすること」とすれば「仕事初め」のほうが正しいようにも聞こえてきます。
とある調査によると、SNS上で「仕事始め」と「仕事初め」を使っている人の割合について調べてみたところ、4人に1人は「仕事初め」という単語を選んで使っていた、といいます。
ただし、これは「しごとはじめ」という言葉を変換すると、どちらも変換候補として現れるため、お正月だし「仕事初め」のほうが正しそうだ、という理由で選ばれている気がします。
「仕事初め」は「書き初め(かきぞめ)」の流れから、「仕事初めが正しい」という説明する人もいます。
書き初めの由来は吉書初め、仕事始めの由来は御用始め
『「書き初め」っていうくらいだし、「仕事初め」でも間違ってはいないんじゃない?』と終わらせるのもいいのですが、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
「書き初め」は、そもそもどのような由来があるのかといえば、元は宮中行事の「吉書初め」が市民に広く伝わったものだと言われています。
この流れから、「筆初め」「初硯」という言葉でも表現されますが、「初」という漢字で表現されるのではないでしょうか。
このような「初」ものは他にも行われていて、山村では木の伐り初め、漁村では舟の乗り初めを1月2日に行い、一年の労働の安全や上達を願うという儀式的な習慣があったようです。
一方の「仕事始め」は、元は「御用始め」という言葉に由来していると言われています。
これが言葉としては堅いので、もう少し一般市民も使いやすい「仕事始め」と言われるようになったので、「仕事始め」が正しいというわけですね。
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公務員は今でも御用始め?
このような流れのなかで使われるようになった「仕事始め」ですが、公務員では今でも慣習的に「御用始め」という言葉が使われることが多いようです。
「御用」という言葉は、元々「宮中・幕府・政府などの公の用務・用命」のことでした。
元々、昔は「お上」なんて言葉もあったくらいで、役人=偉い人のような構図があったように思いますし、時代劇なんかでも岡っ引きの人は「御用だ!御用だ!」といって犯人を捕まえたりしますよね。
御用始めという言葉は、1873年に公務員の休日を定める法令が制定されたことに因んで使われるようになった言葉だそうです。
国家公務員であればまだしも、地方公務員は政府の役人とは言えませんので、例えば市役所などで「御用」というと、ちょっと違和感があります。
場合によっては「何様だ!」と怒られる場合もあるのかもしれません。
そんなこともあり、現在では公務員であっても「御用始め」という言い方はせずに「仕事始め」と言う方が多いようです。
ただ、まったく使われていないかというとそんなことはなく、隠語のように使ったりもしているのだとか。
なかなか難しい世の中ですが、そのうち「御用始め」という言葉は廃れていき、完全に「仕事始め」としか呼ばれなくなる日も来るのかもしれませんね」。
以上「仕事始め、仕事初め、公務員は御用始め、それぞれ意味の違いとは?」でお送りしました。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
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